2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ユクスキュル・ルネッサンス (7)

ユクスキュルの環世界論の眼目をこれまで――必ずしも委曲を尽くすことはできなかったが――議論してきた。例えば、 環世界論が科学のパラダイム転換をもたらしたこと、簡単に言うなら、物理化学的基礎に立つ生物研究から、やを基礎概念とする生活体の研究への転…

記号主義倫理学の可能性

記号主義は認識論や存在論などの分野に深い関係があるが、じつは倫理学とも関係がないわけではない。それどころか、記号主義的な倫理学へのアプローチを主として認知意味論者(Johnson、Sweetzerら)が試みて興味ある成果をあげている。 筆者の見るところ、…

ユクスキュル・ルネッサンス (6)

における存在論> ユクスキュルはときに誤解されている。確かに生物学にの概念を導入したことは彼の功績のひとつである。従前の生物学がという枠組みを採用していた点は、生物個体を全体として機械仕掛けとして説明するのが生物学の標準であったことが雄弁に…