2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

記号機能の誕生

グッドマンの世界制作論のキーコンセプトは(reference)にある。ブルーナーは再帰>(recursion)という数学的構造をそこに見出すことによって、の論理的構造に(彼自身、思いがけない)照明をあてることになった。筆者はブルーナーとは独立につとにを構想して…

記号系は再帰によって構造として立ち上がる

ふたたび心理学者ブルーナーがその『可能世界の心理』(書名の訳がピンとこない。この点については3月22日にいささか意見を述べた)のなかで明らかにした、グッドマン記号主義に関する評価とコメントをとりあげよう。ここでの問題は記号系の機能における再帰…

学業をおえる(=卒)日であってはいけない

卒業式であった。用事をすませて昼過ぎに大学に出てみると校内の風景はいつもとは一変している。男の学生は大半が窮屈そうなスーツ姿、女の学生は振袖か(正式には何と言うのか)袴姿がほとんどであった。 自分の部屋で仕事をしているとノックする者がある。…

世界とヴァージョン

ブルーナー『可能世界の心理』で指摘された重要な問題に、ととの異同ということがある。単純な例をあげれば、地動説に依拠した世界像と天動説のそれとは異なるのはもちろん、互いに相容れないヴァージョンである。ブルーナーが読み取っているように、グッド…

とは何か?――記号の存在論の問い

ブルーナー『可能世界の心理』という書名のオリジナルタイトルは、Actual Minds, Possible Worldsとなっている。訳の是非はともかくとして、原題にこめられた趣意に敏感であるべきだろう。すなわち、ブルーナーは心理学者として当然のことながら――本書の処々…

グッドマン哲学への最良のコメントを読んだ

ここに採りあげるのは、心理学者ジェローム・ブルーナー(J. Bruner)の『可能世界の心理』(田中一彦訳、みすず書房)という一冊である。(詳しく言うと、特に第七章で集中的にグッドマンが論じられている。キャロル・フィルドマンとの共同執筆。)これまで…

人々が旅たつ春

本日は今月最後の全体会議だった。ということは、平成17年度最終の会議だということになる。そのためにリタイアする教職員やら転任する職員の「訣れのご挨拶」があった。ご時世なのだろうか。マイク片手にこもごもご披露されたスピーチの、ながたらしいこと…

へのひとつのmutantをめざして

きっかけは何でもいい。以前からブログを立ち上げようとはおもっていた。 私生活をさらしておのれを顕示するのは趣味ではないし、匿名をいいことに他者の言説に与太めいた批判をたれながすなど傍目ながらウンザリする。 書く動機ははっきりしている。すこし…