2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ユクスキュル・ルネッサンス (5)

環世界と世界――相対主義との関連で ユクスキュルの環世界論が、哲学的視点からいって相対主義>――さしあたり、認識の相対主義と実在に関する相対主義――を招来するのではないかという懸念は、の存立がおのおのの生物種の存在構造によって規定されているからで…

ユクスキュル・ルネッサンス (4)

文献①〔「環世界論の研究」(思索社版『生物から見た世界』に所収)〕において、トゥーレ・フォン・ユクスキュル(T.v.Uと略す)は、環世界論の意義を何よりも概念を自然研究に導入した点に見出していた。彼の議論を手がかりにして、環世界論についての考察を…

レトリックとは何か

ユクスキュルの環世界論についての考察が途中であるが、ここでレトリックに関する筆者の総合的な考えを披露しておこう。この文章はいずれある事典の項目として刊行される予定になっている。そのままだと著作権上まずいかなと考え、多少違えてある。ただし、…

ユクスキュル・ルネッサンス (3)

環世界論はという意味でのないしのパラダイム転換を要請する ユクスキュルの環世界論について考察するためには、トゥーレ・フォン・ユクスキュル(Thure von Uexküll)の論文が貴重な手がかりになる。ここでは、アクセスが比較的に容易で、筆者が参照できた…

ユクスキュル・ルネッサンス (2)

環世界論における 概念を生物学に導入した功績は、確かにユクスキュルに帰せられるべきものである。しかし問題は、ユクスキュルが、古典的なとは一線を劃した概念を新しくどのように構想したか、それを詳らかにすることだろう。環境に属する生命体の研究とい…

ユクスキュル・ルネッサンス (1)

いま授業でヤーコプ・フォン・ユクスキュル(Jakob von Uexküll)を読んでいる。テキストとして遣っているのは、『生物から見た世界』(日高敏隆・羽田節子訳、岩波文、2005)。これは、かつて思索社から刊行された『生物から見た世界』(日高敏隆・野田保之…