2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

言語の実像を作り直す (9)

12 初発の言語音をという記号形態に比較することができます。ご承知のように、サンプルの種類は多種多様にわたっています。レストランのショウウィンドウをかざるメニューの見本、デパートの食品売り場でお客に供される新発売のパンの一切れ、植物標本、琵琶…

言語の実像を作り直す (8)

11 言語音の機能的生成の記述を続けることにします。 ♪ポッポ♪という言語音で鳩を捉まえた幼児には、模倣の生得的能力がそなわっていたと言うべきです。まず、この♪ポッポ♪という音声は、そもそもこの音声=言語音によってカテゴリー化され概念化された対象…

言語の実像を作り直す (7)

9 われわれは、言語音を以上のような三層構造の統合体として捉えたいと考えます。あるいは、言語音とはなのだと言いたいと思います。 こうした見地への最大かつ最強の異論があるとすれば、それはこの種のもの以外にはないでしょう。すなわち、消極的な言い…

言語の実像を作り直す (6)

8 再帰的動き>(recursive move)とは、記号系を別の記号系へと作り直す働き(remaking)です。知覚においては、知覚的素材としての知覚項を新たな知覚項へと作成し直すことであり、言語においては、言語的素材としての知覚項を別の水準の知覚項へと作成し直…

言語の実像を作り直す (5)

7 ここまでの観察をまとめましょう。言語音の生成は、知覚のさなかからその沈黙をやぶって音声が溢れ出すという事態だ、と言いうるでしょう。言語音はあたかも知覚項をなぞりつつその内容を確証するために創られたように思われます。ここにも記号系の再帰的…