2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

画像の存在論のために ――リードを参照する(3)

ギブソンの絵画に対する基本的見地は、絵画を情報の表示と見なすことにある。画像知覚はこのかぎりで文字情報の理解に似たところがある。ギブソンはいう、「表現されたもの[ここでは一枚の絵画を考えればよい]を知覚することは、読んだり聞いたりして理解す…

画像の存在論のために ――リードを参照する(2)

ギブソンは、迫真性を厳密な複製から恣意的なものまでのひろがりをもつものと捉えた。後者は社会的慣習に基づくもので、記号的機能にほかならない。(同書、P.327.) [非記号的画像知覚と記号機能としての画像知覚、というこの二分法が、ギブソンの知覚論の…

画像の存在論のために ――リードを参照する

グッドマンとギブソンの断片を二つ掲げたが、きわめて短い文章(しかもジャンルとしては「書簡」であって「論文」ではない)であるため分かりにくい点が多々見受けられる。ところで解釈の上で大きな間違いを避けるための格好の参考書がある。哲学専攻からギ…

「描写は記述ではない」  ――ギブソンの側から考える

話が前後するが、グッドマンがコメントを加えたギブソンのテクストを参照したい。ここに引用するのは、James J. Gibson, The Ecological Approach to the Visual Perception of Pictures? (Leonard, vol.11, pp.227-235.)からの一節である。注などは割愛す…

「不変項」の相対性  ――グッドマンのギブソン批判から

生態学的心理学の創始者ギブソン(J.J.Gibson)を知る人がしだいに増えつつあるようだ。現象学への関心から哲学研究に着手した経歴を持つ者の目から見て、ギブソン心理学と現象学的知覚論および運動論の親和性は一見して明らかである。 そればかりではない。…