2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

記号過程としての 4

今年の日本記号学会でシンポジウムのテーマにとりあげられた緩和医療は、たしかに、多様な記号過程がそこに介在するという点で十分記号学の考察の主題になりうる。しかし基本に遡るなら、そもそも社会的実践としての〈医療〉そのものが、それ自体、記号過程…

記号過程としての 3

指標記号とエスノメソドロジー 兆候へのまなざしがという記号過程の要因であることは自明だが、これを前提におく場合、まずもって解明すべき問題があらわになる。 どのようにして兆候のさまざまな形態からとくに「病気の」兆候つまりないしがそうしたものと…

記号過程としての 2

兆候へのまなざし 「記号」(Σήμειω; sēmeion)にかかわる用語法がヘレニズムの伝統に初めて現れたのは、紀元前4世紀におこなわれた医療の文脈であったといわれる。「記号学」に相当する用語はギリシア語でΣήμειωτική(sēmeiōtikē) であるが、これが遣われた…

記号過程としての 1

5月16日と17日の両日、日本記号学会の第29回大会が東海大学伊勢原キャンパスで開催された。今年のメインテーマは、表題にまとめれば「いのちとからだのコミュニケーション」ということになる。しかしこのタイトルはいかにも曖昧に聞えるのではなかろうか。 …