2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

のイメージングをやり直す(9) 論理形式の更新へ

にはさまざまな難点がある。そもそも個体名とは何であろうか。 言語表現のなかにその候補を探すなら、前述のように、固有名詞とある種の指示表現(確定記述)が浮かび上がってくる。ここから普通名詞はひとまず除外すれば、それで個体の名を限定できると考え…

のイメージングをやり直す(8) 名のリアリズム

これについては、言葉と絵とは本質的に違うのだ、という異論が当然もちあがるだろう。われわれが「その水禽は白い」という文を書くとき、文中の「水禽」の部分を白く塗らなくてはならないという文法規則が日本語にあるのだろうか、という異論である。明らか…

のイメージングをやり直す(7) 画像言語?

先に進む前に、主要な観念について若干の補足を施しておきたい。 第一は、という観念についてである。 われわれは、『論考』で遣われたの訳として、ではなくあえてを選んだ。その理由は、『論考』に展開された言語観の底流に、たとえ黙示的であるにせよ言語…

のイメージングをやり直す(6) 言語地図

線型性 ここで、ソシュール記号学の第二原理すなわち言語の線型性が問題として再燃する。われわれの見るところ、ソシュールが講義で言及した二つの原理のなかで、実はこの「第二」原理こそが真の意味での(principe 構造主義をもたらした根拠もこの原理にあ…

のイメージングをやり直す(5) 言語の画像理論

われわれは、を言語-パラ言語-身体運動の三つの層からなると捉える。このパースペクティブのもとで、は〔分節音+プロソディー+身体運動〕という構成を具えたものとして出現する。〔後日の補遺:三層構造に対応して、言語音の構造も三つ重ねになるはずだ。例…

のイメージングをやり直す(4) 言語の三層構造

:この二分法を乗り越える 当今の標準的な言語探究は、なりをどのように捉えているのだろうか。とりわけとの関係でそれらがどのような機能を果たすと見なしているのか。最近、情報科学やコミュニケーション研究などの分野でへの関心が高まっているとの印象を…

のイメージングをやり直す(3) パラ言語とレトリック

2 パラ言語学とレトリック研究 の観点から、のイメージを問い直してみたい。正統的言語学に伴走するかたちで言語探究にたずさわってきた種々の試みのうち、ここではパラ言語学とレトリックを採りあげよう。どちらも、正統的言語学とは緊張にあふれた距離感を…

のイメージングをやり直す(2) エネルゲイアとしての

われわれが現時点でなすべきは、に対して正面切って愚直な問いを立てることである。言語の存在論的身分ははたしてモノなのだろうか。 たしかに正統的言語学へ礎石を据えたソシュール記号学においても、事柄はそう単純ではなかった。その構想には、モノではな…

のイメージングをやり直す(1)  パロールの循環

のイメージはそれこそ手垢にまみれてしまっている。記号学の問題としてへアプローチを開始するためには、まずもって真実味のある言語のイメージを描くことから始めなくてはならない。以下はそのための覚書である。テーマがそれなりに大きいので、これはその…