2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

知覚における算術の誕生 (8)

こうして見てくると、音階が音楽のを決定する最大の要因であることが分かるだろう。あらためてスタイルとは何だろうか。 この概念は基本的に存在論的概念として理解されなくてはならない。styleはたいてい「様式」や「文体」などと訳されるが、語源をさかの…

知覚における算術の誕生 (7)

前期のメルロ=ポンティの思想において、セザンヌの画業に示された真理とは、主体としての身体ならびに知覚の認識論的かつ存在論的優位ということだった。具体的にはセザンヌの色彩観にメルロは多大の影響を受けている。たしかに物象(もの)が見えるのは輪郭…

知覚における算術の誕生 (6)

科学的認識の知覚主義による基礎づけの問題を攻略するために彼が構えた戦略は、身体運動(表情ある身振り)から言語行動が開花するプロセスを跡づけ、これと並行して身体運動としてのアルゴリズム(数えること=算術)から数学への展開を記述することを基軸…

知覚における算術の誕生 (5)

背負った課題を解決しようとメルロが傾けた努力ははたして報われたのか、初期のメルロの構想が後期でほんとうに新たな展開をなしとげえたのか、それを訊ねなくてはならない。繰り返しになるが、彼の初期の「表現論」から引き出されるいくつかの論点が彼の戦…