2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

実在性のカテゴリーについて――記号主義から考える(4)

「記号主義」(semioticism)は筆者がグッドマンの形而上学を特徴付けるために翻訳(グッドマン/エルギン『記号主義』(みすず書房、1999);原タイトルはReconceptions in Philosophy and Other Arts and Sciences, London:Routledge, 1988. )の表題として…

実在性のカテゴリーについて ―記号主義から考える(3)

実在性をめぐる哲学論議はたいてい、実在していると主張されている何かしらのモノ(事物)あるいはコト(事実ないし事態)が本当に(really)存在しているのか、という設問をめぐってなされる。この問いに対して、肯定的な答え方をする(つまり、問題のモノ…

実在性のカテゴリーについて ―記号主義から考える(2)

グッドマンの記号主義へ話を進める前に、モンテーニュの懐疑に関するメルロ=ポンティ(Merleau-Ponty, 1908 - 1961)の解釈を確かめておこう。のカテゴリーについての理解を深めるためである。とがカテゴリーとしてどのような意味で違うかをメルロのモンテー…

実在性のカテゴリーについて ―記号主義から考える(1)

人は誰でも実在性(reality)のカテゴリーを受け入れている。この意味で――素朴であれ無意識的であれ――形而上学者でない人間は一人もいない。 例えば、あなたは目の前のテーブルの上に花瓶を見るだろう。そして「テーブルの上の花瓶が実在する」という命題を…