2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

視えない絵画を知覚する(5) と空間認知

空間を記号系で表現する方式にはじつにさまざまな種類がある。言語による記述、地図による描写、座標、写真(インデックス)、フローチャートなどなど。 前回指摘したように、地図ひとつとりあげても、それに含まれる下位の記号系としての地図がまた多岐にわ…

視えない絵画を知覚する(4) 盲人の空間認知

に関するケネディの研究で最も注目に値する観察の一つは、盲人が(perspective)を――少なくともその基本構造について――晴眼者と同様に理解している、ということだろう。というのも、従来、遠近法はもっぱら視覚に固有な空間の構成法だと信じられてきたからで…

視えない絵画を知覚する(3) 共感覚と音象徴

話を進める前に、前回の記事で取り上げた共感覚>について補足しておきたい。 視覚障害者の「絵画」という主題とのかかわりでなぜ共感覚>が問題化されるかといえば、絵画は視覚藝術であるという誤った認識を生むのが、だからである。つまり、この種の理論を克…

視えない絵画を知覚する(2) 感覚様相と共感覚

感覚のメレオロジー、あるいは換喩論理(metonymic logic) ケネディの論文「盲人はどのような絵を描くか」が立証したのは、直接には、視覚障害者(先天盲と早期失明者)も――この助詞には価値の含意はない――絵を描く能力をもつ、という事実である。これは多…

視えない絵画を知覚する (1) 盲人の絵と感覚

絵画とはなにを言うのだろう。この問いに応じるのはそれほど安易な仕事ではない。例えば、をこう定義してみる――空白の平面を図形や色彩でうめてゆくことで何かしらの視覚的イメージ表現する方法であると。だいたいはこれでいいのかもしれない。ただひっかか…