ソシュール記号学の脱構築 プログラム

namdoog2006-06-22

ソシュール記号学脱構築のためのプログラムの前半部分を掲げよう。すでに発表ずみの、拙著『恣意性の神話』勁草書房、第一章が基礎になっている。(なお、後半部分において、<言語音の機能的生成>の議論から<シンボル(パース)の構造的構成>への展開を予定している。)

1 「記号論的障害」としての<恣意性>
 ミニマム人間学 <人間とは記号機能を営む動物である>
 記号論人間学になるべきである。
 <記号の問い>= 記号とは何か、記号はどんな働きをするのか
 この問いは、近代主義的・人間中心主義的な記号観によって歪められている。
 ソシュール記号学と恣意性の神話

2 恣意性の原理
 言語相対主義

3 「恣意性」のセントラルドグマ
 人文科学ないし人間科学に多少とも記号主義が導入され、研究領域に言語モデルが適用される限りで<恣意性の神話>が導入され、結果として認識が曇らされる。

4 「恣意性の原理」の曖昧さと<自然/文化>の対比
言語記号とその他の記号(パントマイム、礼式、サンボル)は恣意性の原理の統制化にある。だが、自然的記号(signe naturel)はこれに反する。(例:徴候)
<自然的記号/慣習的記号>の二分法
形相主義
自然と文化の二分法

5 オノマトペと生まれつつある言語
オノマトペとは何か?
記号の発生 (記号の機能的発生functional ontogenesis)
メルロ=ポンティにおけるパロールの優位 あるいは、<話すパロール>la parole parlanteへ

6 イメージ図式の「自然との絆」
認知意味論の展開
イメージ図式
身体性の経験-身体的想像力

7 形相 対 機能
記号の二重性(二元性)はゆらぎの中で平衡を保つ
差異の有意性の問題 → 示差的特徴は聴取されなくてはならない。すなわち、差異は物理的なものの「機能」によって規定される。機能は言語構造の形式的特性ではありえない。

8 カテゴリー把握(カテゴリー化)の有縁性
バーリン、ケイ『基礎色彩語』(1969)
ロッシュのプロトタイプ理論

9 言語のアイコン性
アイコン(類像)はパース(Peirce)による記号のひとつのタイプ
音韻論、形態論、構文論などの水準で、言語形式はそれの機能ないし意味になぞらえる形で動機付けをもつ。類似を規定するのは、記号環境(ないし文脈)である。
言語の形態は意味に共鳴する、このことを原理としなくてはならない。

10 言語の指標性 当然ながら、指標性の原理=因果性や近接性は記号環境から規定される。
結論 <主観性の記号学>から<記号環境学>への生態学的展開